12月7日 一般質問にたちました。

7日、一般質問に立ちました。

今回も災害対策、被災者支援についておこないました。
特に、新成羽川ダムと洪水の関係について、検証し、今後関係市町村、県、河川事務所、中国電力で協議し対策をすることなど、重要な知事答弁を聞くことができました。

温暖化が進む中、またいつ大災害が来るかわからないという危機感を持ち、二度と水害で命が失われることのないように、ふるさとと財産が失われることのないように、対策を打つよう訴えました。

(質問原稿)
11月議会 一般質問原稿

すます伸子
通告に従い質問します。よろしくお願いします。
西日本豪雨災害から、ちょうど5カ月がたとうとしています。
岡山県全体で災害関連死の5名を含め66名もの尊い命が失われいまだ行方不明の方々もおられます。避難所は現在18名となり、復旧・復興ロードマップでは建設型仮設住宅に719人・借上げ型仮設住宅に8316名が入居となっており、自宅の二階や知人宅への避難者なども含めると、いまだに一万人近くが避難生活を続けていることとなります。
1、まず初めに、被災者支援についていくつか伺います。
①最初に、仮設住宅の供与期間の問題です。復旧・復興ロードマップでは、仮設住宅の提供は、建設型も借上型も「最長2年間」とあります。しかし、被災者の皆さんは、「小田川付け替え工事が終わるまでは、真備に帰る気になれない」「家も車も、家財もすべて失い、この年でどうやって家が再建できるのか」「2年後の暮らしを考えると不安でたまらない」「年金暮らしで、たくわえだけでは家は建たない」「公営住宅を待っている」などの声を聞きます。
被災者は、2年間というしばりで焦りと不安を募らせています。他県の特定非常災害に指定された被災地でも仮設住宅の供与期間が2年から延長されています。ぜひ延長を国に求めていただきたいと考えます。そして、「必要に応じて延長」と復旧・復興ロードマップに記入し被災者の不安にこたえていただけないでしょうか。保健福祉部長のお考えをお示しください。
②次に医療費等の自己負担無料化の期間が来年2月まで延ばされました。今後も、市町村と県が医療費等の無料延長の意向を示せば、国が10割負担で引き続き医療費及び介護保険利用料の自己負担無料化の延長が可能と聞いています。避難生活をつづける被災者の命と健康を守るため、最も大切な支援の柱ともいえる無料化の継続が必要と考えます。保健福祉部長のお考えをお示しください。
③3つ目に、被災者の心のケアについてです。熊本や広島では、借上型仮設住宅に入居された被災者を中心に、孤立化が進み孤独死が発生していると聞きます。私も、真備町の共産党被災者支援センターで、「みなし仮設にいると周りは普通の暮らしをされていて、被災の話をできず、誰とも話さない日もある。」「夫が引きこもって出てこれなくなった」などの声を聴きました。現在、県と市で協力し生活支援相談員による見守り活動と相談活動などを進めておられます。しかし、まだ、被災者同士の交流の場が足りません。交流の場を細かく設置し、運営の指導を行政が責任を持つ形で進めていただく必要があります。被災者の方々は既に元のコミュニティーを壊され、避難所、そして仮設と短い期間に2度3度と引っ越し、人間関係を形成することに疲れを感じています。被災者だけでコミュニティーを形成することは難しいと思います。
県として、仮設住宅の現場に人的支援をしていただき、被災者を一人ぼっちにしないためのコミュニティー形成に向けた取り組みを求めます。保健福祉部長のお考えをお示しください。
④4つ目に、事業者への支援の問題です。グループ補助金の申請に当たり、「手続きが大変」「二社見積もりが必要で、大工が忙しく見積もりを取るのも一月以上待たなくてはならず、期日までに間に合うか心配」など手続きの複雑さなどを理由に、申請を諦めたという事業者があります。すべての事業者に再建のチャンスを与えるため、手続きの煩雑さや期日が再建の支障とならないように、しっかりとした相談体制の強化と事業期間の延長が必要と考えますが、産業労働部長のお考えをお示しください。

2、復興計画等について
県では、被災された県民の皆様の生活や生業の一日も早い回復に向け、各種支援を示す復旧・復興ロードマップを示し、11月には改訂版も出されました。
多くの被災自治体では、住民と議会の議論を経て復興計画を策定し、公表しています。岡山県でも復興計画の策定についてどのように検討されているのか。まず知事のお考えをお示し下さい。
被災者の皆さんが主人公となり、どのように復旧・復興を目指していくのかを見えるように行政は力を尽くさなくてはならないと考えます。現在の復旧・復興ロードマップでは、被災者へのメッセージや復興へ向けた各事業の優先順位などが伝わりにくいと感じています。
たとえば、熊本県では「県民の総力を結集し将来世代にわたる県民総幸福量を最大化する」とあります。岩手県では、復興への県の基本方針を、「被災者の人間らしい「くらし」「まなび」「仕事」を確保し、一人一人の幸福追求権を保障する。犠牲者の故郷への思いを継承する」としています。広島県でも西日本豪雨の復興計画をすでに策定しています。復興計画という形にこだわることはないのですが、被災者へ力強い復旧・復興へのメッセージが伝わり、県の被災者に寄り添う姿勢を示すことが必要ではないでしょうか、知事のお考えをお示しください。
さらに、復興にむけた歩みの道筋、優先順位を示すことが大切ではないでしょうか。
まず、安全を確保しなくてはならない。その上で被災者が希望をもって被災地へ帰り住み、くらしを再建し、「なりわい」を再生する。といったプロセスが示されなくてはならないと感じます。
知事の考える復興への道筋について、併せてお示しください。

3、高梁川と小田川の洪水について問います。
私は、被災者の「なぜ決壊したのか」「もう安全なのか」という問いかけに応えることなしに、真の復興を成し遂げることは難しいと感じています。
温暖化が進み、異常気象が多発する中、またいつ来るかわからない災害ということを胸に刻み、「人命が失われるようなことは今回で終わりにする」という決意のもと、科学的、技術的な知見に立脚した方向性を示し、住民が主人公になって総合的に検証し被害を最小限にする方向を見出さなくては、安全で安心な地域として希望を持つことはできません。
そこで真備町のこのたびの大洪水について知事に伺います。
① まず、今回の洪水は、防げたはずの洪水ではなかったかということです。
小田川合流点付替え事業を実施することもありますが、それ以前にも多くの問題と教訓があると思います。
高梁川水系小田川堤防調査委員会は、「主な決壊の原因は越水と推定」と発表しました。つまり、急激な水位の上昇により、堤防の低いところから越水が起き、破堤が起こったということです。この国土地理院の地図を見てください。(図を示す)堤防の低い箇所、つまり標高17メートル以下の堤防が見事に破堤しています。
18メートルは無事です。あと1メートル高ければ越水は起こっていません。
今後の小田川決壊部の堤防工事について、堤防高は原形復旧するという計画となっています。また、県の支流の高馬川も小田川に合わせ合流点付近では標高約16メートルとなっています。低すぎます。堤防が低い場所が決壊したことがわかっていながら、国はなぜ堤防の高さを変えないのでしょうか。知事、ぜひ国に堤防の高さの再検討を求めていただきたいと思います。お考えをお示しください。

さらに、水位がもう一メートル低ければ決壊はおこっていなかったのではないか。
という問題です。 そもそも、気象庁は、7月5日午後2時過ぎに台風や大雪以外では異例の緊急記者会見を開き、西日本から東日本の広い範囲で週末まで雨が降り続き「大きな河川でも増水し決壊の可能性あり」と厳重注意を呼びかけました。このため、行政やダム管理者はこれに対し事前に適切な対策をとるべきでした。しかし、高梁川上流にある新成羽川ダムや河本ダムなどの4ダムは6月末から貯水量を増加させていました。県管理のダムは事前放流をされていましたが、新成羽川ダムは、そもそも治水ダムではないので事前放流はされていません。
成羽川は高梁川の支流ですが、その流域面積は広島県に及び930㎢で、成羽川合流点以北の高梁川の流域面積974㎢とほぼ同じです。 その広い流域の水を貯える巨大ダム新成羽川ダムでは6日の夕方5時に洪水量以上の放流を予告し19時には毎秒1000トンを超す大量放流を実施し、22時過ぎに2000トンを超え、22時30分には最大毎秒2074トンを放出しました。その後も大量放流を続けました。日羽水位観測所の最大流量が毎秒6960トンですから、新成羽川ダムの放水量が約3割を占めています。酒津水位観測所でも最大流量は毎秒8,882トンですから23%は新成羽川ダムの影響があったとみられます。岡山県管理の河本ダムも6日の23時30分に最大流量毎秒747トン放出しています。
高梁川の6日夕刻から深夜にかけての急激な水位上昇が、大雨とダム放流によって引き起こされ、小田川では急激なバックウォーター現象が起こったといえます。
河川法52条では、河川管理者(国)は川の状況を総合的に考慮してダム設置者に必要な措置を指示することができると規定されています。国が52条を使い、事前放流を求めていれば結果は違うものとなったのではないでしょうか。検証委員会では、現時点では新成羽川ダムの検証はされていません。新成羽川ダムと洪水との関係について知事のお考えをお示しください。
今後は、そもそも、国の高梁川水系河川整備計画の中に治水ダムと位置付けられていない新成羽川ダムも含めた治水計画を作成するよう国に求めるとともに、岡山河川事務所と県と市町村とダム管理者との間で放流時の連携協定のようなものを作るべきと考えます。知事のご意見をお示しください。

また、これは住民も口々に原因だと言ってきたことですが、河川内のジャングルと化した樹木や雑草の放置や、河道掘削も行われずに堆積した土砂が洪水の一因と考えられます。河道面積が確保されていれば、水位を少しでも下げることができたと考えます。

② 救えたはずの命
次に、この度の真備町の洪水は、前回の質問でも少し触れましたが、避難できなかった方々が2350名に及び、51名もの方々が亡くなりました。避難指示や避難勧告の在り方が問われています。先日倉敷市の副市長が防災特別委員会の場で、「情報が少なかった。ダムの放流も含めて高梁川、小田川の水位などの情報を国、県、市と統一的に持っている必要がある」としました。私は、災害時の情報伝達等について、3つの問題点を感じています。
一つは、情報の伝え方です。
県と市町村の双方で緊急時に人員も足りず、情報も錯そうしている中、どうやって必要な情報を正確に把握していくのでしょうか。危機管理監と土木部長にそれぞれ伺います。
危機管理監に対しては、中国電力からの新成羽川ダムの放流情報について、県の危機管理課が倉敷市へ貸与しているFaxにおいて受信エラーばかりで倉敷市はダムの大放流をつかめなかった問題への考えと併せて伺います。
土木部長に対しては、岡山河川事務所からの小田川氾濫発生のメールを気づかなかった県水防本部、高馬川決壊情報が4時間後に国リエゾンが口頭で伝えるまでつかめなかった問題への考えと併せて伺います。
もう一つは、情報をつかんでも、その意味が分からなければ、共有ができなければ、判断ができない。という問題です。小田川の異常な増水に対し、河川事務所はホットラインで倉敷市長に直接危険を警鐘していたにもかかわらず、避難指示が出たのは、真夜中の午前1時30分です。伝えられた情報を受け止める現場が同じ土俵で知識や危機感を共有しなければ、行動に結びつきません。まして、そのことが市民に伝わりようがありません。この問題点について、危機管理監のお考えをお示しください。
3つ目は夜が明けて明るくなった時点で、なぜ、末政川の東側の方々に避難指示を徹底する手立てが取れなかったのか。末政川の状況をつかむことが明るくなってもなお遅れていたことがどうしても納得いきません。末政川の真東の住民が朝起きて末政の西が水没していることを知らずにいたと証言しています。この地域で15名もの方が亡くなっていますが、少なくともこの方々は救えたはずでした。検証委員会でかなり解明されていると思いますが、この問題点について、危機管理監のお考えをお示しください。