9月議会 討論

県議会最終日
討論に立ちました。

10分という制限時間なので、とても早口で目いっぱいしゃべりました。でも口がもつれて「陳情55号」を「チンジュウ55号」と言い間違いました。

討論の内容
日本共産党の須増伸子です。
私は,議案1件,陳情13件について,委員長の報告のとおりに決することに反対する立場で,その理由を述べます。
まず,議第91号行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号等の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例についてです。
これは、高等学校専攻科での補助金などの申請においてマイナンバーの使用をできるとするもので、先行して実施している学校での施設整備や人員配置のわりに利用者も少なく費用対効果の面で大変課題があります。またそもそもマイナンバーを行政手続きのと紐づけしていくことには、個人情報保護の面で課題があります。先日、ドコモ口座などの電子決済サービスを通じて銀行預金が不正に引き出される事件がおきました。そんな中、マイナンバーと銀行口座のひも付けが検討されています。顧客のお金を守るという最低限の安全対策すらできていないもとでは不安が募るばかりです。情報は集積されるほど利用価値が高まり攻撃されやすく、情報漏えいを100%防ぐ完全なシステム構築は不可能です。意図的に情報を盗み、売る人間がいる中で、一度、漏れた情報は流通・売買され、取り返しがつかなくなります。2021年からマイナンバーカードを健康保険証としても使用可能にするなどの健康保険法等改正や、行政の手続きや業務に用いる情報のオンライン化を原則とする「デジタル手続法」がつくられ、マイナンバーカード普及が行われていますが、安全対策の課題が付きまといます。マイナンバー運用には慎重な対応が引き続き大切と考え、この議案には反対します。

次に、陳情55号「国に対し「消費税率5%以下への引き下げを求める意見書」の提出を求めることについてです。
消費税の税率を8%から10%に引き上げてからちょうど昨日で1年になりました。
安倍政権は、「戦後最長」の景気拡大が続いていると主張して、増税を強行しました。しかし、増税の1年も前の18年10月に景気拡大局面が終了していたことを、政府は今年7月末、公式に認めました。
国内総生産(GDP)は、コロナ発生前の昨年10~12月期に大きく落ち込みました。今年4~6月期は前期に比べ年率で28・1%も落ち込みました。消費税増税で弱体化していた経済に、コロナが追い打ちをかけたためです。
コロナ禍のなか、経済は休業者や失業者が増え企業の倒産や廃業も相次ぐなど、いよいよ底なしの様相です。暮らし支えすべての業界の事業者を応援し、消費拡大を呼び覚まし、経済を立て直すために、消費税率引き下げの緊急経済対策が不可欠と考えます。
以上の理由からこの陳情に賛成し採択すべきと考えます。
次に陳情54号、すべての医療・介護事業所に対する前年実績比の減収分の財政支援を求めることについてです。
「国は赤字の病院を救ってください!」。と都内大学病院の医師たちが先月ネット署名を呼びかけ数万の規模で国会に届けられたと報道がありました。
現在国は、コロナ感染者の治療や検査に対する報酬や助成は手厚くなったものの、減収に対する支援はいまだ行われていません。
病院、医療・介護従事者が社会的使命からコロナ禍で医療に携わっているにもかかわらず、病院の経営は不安定になり、医療従事者の待遇も悪化している状況がつづいています。夏の一時金は、3割近い医療機関がなしか減額と報じられています。慰労金の申請準備に大変な手間と労力をとられ、いまだにほとんどの病院で、スタッフに慰労金が届いていません。そんな中、病院のスタッフから聞いた話は、「医療現場は、家族での外食や、ふるさとへの帰郷も制限されて、昼の休憩時間さえ、壁に向かって話をせずに食べている。医療現場のストレスは限界なのに、世の中は、GOTOキャンペーンをしている。」と怒りを込めて言われました。
医療従事者が安心して働いてこそ、国民の健康と命が守られます。そのためには、国からの財政支援が必要です。岡山県の医療機関も精神科以外のほとんどの医療機関が減収となり、緊急融資を受けている病院が相当数あります。1パーセントの利益率といわれる医療・介護業界に新たな借金で一時しのぎの資金繰りをしても、いずれ経営破たんが起きてしまいます。県当局も知事を先頭に全国知事会を通じ国へ要望されており、議会としても国へ求めていくべきと考えます。以上の理由からこの陳情に賛成します。
次に陳情27号精神障害者を岡山県心身障害者医療費助成制度の対象者に加えることを求めることについてです。
障害者基本法で、三障害一体と明記されている通り、精神障害者だけ差別して医療費の助成制度に加えないことがあってはなりません。
精神障がい者の方々が、他科受診での3割の医療費負担に苦しみ受診抑制までおこっている実態を聞いています。 精神障がい者が、公費負担制度の対象とされていない問題で、岡山市はすでに今年度から一部対象としたこともあり、ぜひ県としても実施をすべきと考えます。

次に陳情53号「種苗法改正に対し慎重な審議を求める意見書」提出を求めることについてです。
種苗法「改正案」は、先の通常国会で食の安全を願う多くの消費者・農民・市民の反対の声に押され、一度も審議されることなく継続審議となっています。
種苗法「改正案」は、農民の「自家増殖の権利」を原則禁止するものです。これは、「主要農作物種子法」廃止と同時に成立した「農業競争力強化支援法」で、公的機関が保有する「種子の知見」を民間企業に提供することを盛り込み、さらに、海外企業が日本での品種登録をしやすくするなど、日本の優良品種を多国籍種子企業に提供するものと言わざるを得ません。自家増殖を禁止しても、海外流出を防げないことは、農水省自身が認めています。自家増殖禁止は、許諾料や毎年種子を購入せざるを得なくなるなど、農民に負担増を強いることは明らかです。
農水省は、「育成者権が及ぶのは、1 割にも満たない登録品種だから影響はない」と言いますが、実際の栽培では、米で 3 割以上を占めるなど登録品種の利用が増えています。
種子企業は、遺伝子組み換え種子の開発以来、種子の栽培マニュアル(契約)に肥
料や農薬などの使用量や使用時期を組み込み、農民の栽培に対する自主的判断を奪う傾向も強めており、栽培面からの企業依存をも狙っています。
このように種苗法「改正案」は、種子の企業支配を拡大させ、品種の多様性と農民の栽培技術を奪い、気候変動などへの対応力を低下させ、日本の多様な食文化を支えてきた農産物の安定生産への消費者の願いにも逆行します。以上の理由から種苗法改正に反対し、陳情の趣旨に賛同する立場からこの陳情は採択すべきと考えます。
陳情56、57号 「少人数学級を可能にする学校教育環境の整備を求めることについて」また、国の責任による「20人学級」を展望した少人数学級の全身を求めることについてです。
少人数学級のすみやかな実施を求めて、教育研究者有志が全国署名を始めました。コロナ禍で学校生活を送る子どもたちのためのもので、「教室に空間的ゆとりを確保しつつ、一人ひとりに寄り添った指導やケアを提供できる教育環境の確保が大切です」と強調しています。
全国知事会、全国市長会、全国町村会の地方3団体は、現在の小・中学校の40人学級では新型コロナウイルスの感染予防ができないとして、国に少人数学級の実現を求める緊急提言を手渡しました。子どもの命と健康を守り成長と発達、豊かな教育の実現のため少人数学級の前進を求める立場から、これらの陳情を採択すべきと考えます。